ダニエル・ハウスマン/ 橋本 努 監訳、ニキ リンコ 訳『経済学の哲学入門 ― 選好、価値、選択、および厚生』勁草書房、2022年5月

発売日
:2022年5月20日
判型・ページ数
:A5判 / 240頁
定価
:3,080円(税込)
ISBN
:978-4-326-50492-3

ミクロ経済学、厚生経済学やゲーム理論における基本概念「選好」を取り上げながら、コンパクトに経済学的な考え方を解説し、「経済学的な説明とは何か?」を問いかける。そもそも選好は経済学でどう理解されているのか、また、されるべきなのか。経済学に軸足をおきつつ、心理学や哲学との比較を行うなど、経済学の幅を広げる1冊。

はじめに

第1章 選好、比較評価、理由
 1.1 選好とは何だろうか
 1.2 総括的比較評価と総比較評価
 1.3 選好、理由、日常心理学
 1.4 選好をめぐる誤解
 1.5 結論

Ⅰ 実証経済学における選好

第2章 選好の諸公理とその含意
 2.1 序数的効用理論の諸公理
 2.2 選好を理解するうえで諸公理の含意するところ
 2.3 合理性と選好
 2.4 選好と自己利益

第3章 顕示選好理論
 3.1 現実的な顕示選好理論と顕示定理
 3.2 現実的な顕示選好理論批判
 3.3 選好を選択の観点から再規定しないのはなぜか
 3.4 仮想的顕示選好
 3.5 信念に依存する顕示選好
 3.6 結論

第4章 選好、意思決定理論、および帰結主義
 4.1 総主観的比較評価
 4.2 選択の予測や説明に選好を用いること:標準モデル
 4.3 期待効用理論
 4.4 期待効用理論で何ができるか
 4.5 帰結主義と標準選択理論
 4.6 属性と選好
 4.7 結論

第5章 ゲーム理論と帰結主義
 5.1 ゲームと結果
 5.2 ゲーム理論における帰結主義
 5.3 デフォルト原則
 5.4 結論:帰結主義の帰結

第6章 制約と選好に反する選択
 6.1 共感とコミットメント
 6.2 コミットメントと選好に反する選択
 6.3 制約と選好に反する選択
 6.4 選好の概念は複数あるのか、一つだけなのか
 6.5 ゲーム理論と選好に反する選択
 6.6 コミットメントと意図
 6.7 結論

Ⅱ 選好、厚生、規範経済学

第7章 選好の充足と厚生
 7.1 厚生と選好
 7.2 なぜ厚生は選好の充足ではないのか
 7.3 厚生と浄化ずみの選好:近似という論拠
 7.4 近似になるという考え方が成り立たない理由
 7.5 結論

第8章 厚生経済学における選好
 8.1 選好と厚生:選好は証拠だという考え方
 8.2 選好を証拠とする考え方と費用便益分析の適用範囲
 8.3 選好の歪曲とパターナリズム
 8.4 結論

Ⅲ 心理学、合理的評価、そして選好の形成

第9章 選択の心理学
 9.1 損失回避、フレーミング、保有効果
 9.2 逆転、変化、調整
 9.3 信念-欲求心理学
 9.4 選好と選択を説明し、予測する

第10章 選好の構築
 10.1 人は選択肢をどう評価しているか
 10.2 本来なら選択肢はどう評価してしかるべきか
 10.3 一例:健康状態の価値
 10.4 情動と理性による評価
 10.5 ヒュームの難問
 10.6 整合性
 10.7 結論:選好形成の諸理論

第11章 結論

参考文献
監訳者あとがき 経済を哲学するために
索引

版元の紹介ページ: https://www.keisoshobo.co.jp/book/b605262.html