竹本洋 著『スミスの倫理 ——『道徳感情論』を読む』、名古屋大学出版、2020年
- 発売日
- :2020年
- 判型・ページ数
- :A5判・262ページ
- 定価
- :5,400円+税
- ISBN
- :978-4-8158-0990-4
目 次
凡 例
序 章 アダム・スミスの倫理学
1 倫理学の性質
2 スミス倫理学のテーマ
3 『道徳感情論』の陰のタイトル
第1章 共感と共生
1 存在の矛盾と秩序
2 「道徳的存在」の基礎としての感情と自己利益
3 共感の二面的性質 —— 結合と排除
4 共感と支配
5 認知的共感と文学的想像力
6 道徳の世界へ
第2章 倫理における「媒介」の問題
1 公正、公平、情報に精通した「中立的観察者」
2 コミュニケーションの媒体 —— 言語、貨幣、中立的観察者
3 中立的観察者の二重性とその分岐 —— 道徳の一般規則と良心
4 良心の脆弱性
5 交流と信頼、それを媒介するもの
6 媒介者のいない悲劇、媒介者の跳梁する悲劇
第3章 「傍観」と世界の分節化
1 日常としての傍観
2 「世界」の内部と外部 —— 傍観の境界
3 自然的情念と社会的情念
4 マルチチュードとアウトサイダー
5 社会の身分的秩序と秩序からこぼれる人たち
6 国家と統治体制の安定 —— 国家、中間団体、個人
7 人間らしく、男らしく —— 忍苦、怒り、憎しみ
8 世界の分節化からの脱出
第4章 実践的倫理としての徳
1 生存と正義と善
2 他者の承認と他者からの承認
3 自己承認と倫理的な生
4 敵という名の仲間
5 「称賛に値する徳」の証明不可能性と「卓越しない徳」
第5章 愛と憎悪
1 親和的情念、敵対的情念、利己的情念と情念の中庸
2 愛の階梯 —— 自己愛、家族愛、友情
3 債務としての愛、贈与としての同情
4 祖国愛と「良き国民」の創造
5 隣国民への友情と人類愛
6 敵対的情念の社会性と復讐・開戦の四原則
7 戦争と党派闘争の道徳的意義 ——「自制心」の修養と「死の恐怖心」の克己
8 愛と憎しみの同時切断
第6章 幸福 —— 真偽の向こうに
1 聖なる幸福
2 死者の幸福、死者の不幸
3 真の幸福、その内実と条件
4 偽の幸福
(1)相対的世界における欲望と徳
(2)フェイクの魅力
(3)共感の偏りと差別
(4)目的と手段の転倒
5 完璧な幸福、その幻影の作用
(1)徳の涵養
(2)科学技術の発達と産業文明
(3)統治機構と官僚制
(4)自発的服従と絶対的服従
6 不幸の回避
7 公共善としてのヒエラルキー的秩序
8 繁栄と秩序との危うい均衡
終 章 未来からの倫理
1 意図原則と感情の不規則性
2 リスクと過失
3 倫理の虚構性と虚構の現実性
あとがき
注
索 引