50周年のこの2000年には、11月に第64回目の大会を開くことになっており、会員数841名、5つの部会をもち、年報も来年度の39号から年2回の発行にしようとしている。学会ニュースと会員名簿を発行し、英文論集を出版し、ホーム・ページJSHETをもち、学会推薦の日本学術会議会員を擁している。アメリカやイギリス、ヨーロッパ大陸、オ−ストラリア、韓国に同種の学会があるが、日本の経済学史学会が歴史も古いし、はるかに大きい。
日本の経済学史学会は、経済学史研究のメッカとして多くの業績を生み出しており、日本の経済学をリードする錚々たる経済学者を輩出している。また多数の若手経済学者を育てている。運営は私が知る限り学問を中心に極めて民主的・公平であり、透明である。
経済学史学会はこの50年の間にどんな歩みをして今日のこのような学会になったのだろうか。このことを知れば、私たちはそこに先輩たちの知恵と努力の後を見いだすであろうし、経済学史学会の伝統や「らしさ」を自覚するであろうし、また今後に向けての活力や指針を得ることも出来るであろう。また歴史の重みを知るだけでも我々を育んできた学会を大切にしなければという思いに至るであろう。このような考えからだと思うが、1996年に、常任幹事会や幹事会で、経済思想史辞典(馬渡尚憲担当)、記念講演会(竹本洋幹事担当)、データベース(八木紀一郎幹事担当)と並ぶ50周年事業の1つとして50年史の編集刊行が計画された。
担当者には二人の元代表幹事が選ばれた。そして特に中村・元代表幹事のお骨折りによって完成したのが、この『経済学史学会50年史』である。ご承知のように、経済学史学会は、1961年に『日本における経済学史研究十年の歩み――経済学史学会十年史』を出している。1980年には『経済学史学会30年史』を出している。従って50年史は3回目の学会史であるが、データだけで言っても30年史が10年史より50年史が30年史より厚くなるのは当然である。30年史は約100ページであるが、この50年史は200ページと聞いている。それだけに、追加20年間のデータを収集し・整理するという作業に加えて、本文すべてを執筆されたご苦労には並々ならぬものがあったと推察される。中村・元代表幹事に深く感謝するとともに、この50年史を経済学史学会の一層の充実や発展に結びつくように会員全員で利用していくことにしたい。
2000年6月2日
代表幹事 馬渡尚憲