目次
序章 問題と構成
第1章 福祉国家の根本問題
0 はじめに
1 社会民主主義から現代へ
2 福祉国家の類型学
2-1 愛徳(カリタス)とボランティア
2-2 神に似た貧者たちの氾濫
2-3 規律訓練権力の動員
2-4 「生権力」を用いる国家
2-5 温情的な家父長制的配慮
2-6 共通善と自律の補完関係
2-7 討議する国家市民の要請
2-8 福祉国家を超える想像力
2-9 人間能力の全面開花
3 まとめ:福祉国家の根本問題の九カテゴリー
第2章 福祉国家の哲学的基礎――潜勢的可能性としてのケイパビリティ
0 はじめに
1 ケイパビリティ概念をめぐる論争
1-1 厚生経済学との関係
1-2 格差原理の補完か、平等な配慮か(ロールズとの関係)
1-3 資源主義との比較(1)ドゥウォーキンの批判
1-4 資源主義との比較(2)ポッゲの批判
2 アリストテレス主義との比較
2-1 ケイパビリティよりも機能の重視
2-2 ヌスバウムの別の可能性
2-3 この節のまとめ
3 ケイパビリティ概念の分析
3-1 選択の自律
3-2 一次機能と二次機能
3-3 変換能力と機能的等価物
4 潜勢的可能性としてのケイパビリティ
4-1 器キャパシティ論
4-2 潜勢的可能性の自己目的化
4-3 保障モデルと潜勢力モデル
5 おわりに
第3章 いかなる介入を正統化すべきか――リバタリアン・パターナリズムの射程(1)
0 はじめに
1 範例としてのカフェテリア問題
2 リバタリアン・パターナリズムの創造的な特徴
2-1 リバタリアニズムから一歩先へ
2-2 適用範囲は限られているはずなのに創造的
2-3 合理的経済人を想定するわけではない
3 批判者たちを包摂する戦略
3-1 主体化型の自由主義(リベラリズム)を包摂する
3-2 熟議民主主義を包摂する
3-3 限定合理性学派を包摂する
4 どのリバタリアン・パターナリズムを支持するか
4-1 コロブキンの類型
4-2 新たな類型論の提案
5 アスリート・モデルによる政府介入擁護論
第4章 自律していない者たちの社会契約――リバタリアン・パターナリズムの射程(2)
0 はじめに
1 システム1とシステム2の連携パタン
1-1 システム1とシステム2の4区分
1-2 システム2の怠惰への支援/代行
2 いかにシステムを連携させるか
3 リベラルな啓蒙主義vs.成長論的自由主義
3-1 システム1/システム2に対応する政府の介入
3-2 理性の怠惰傾向に対処する政府
3-3 政府レベルにおける対応の対立
4 おわりに
第5章 幸福の経済原理――自生的な善ウェルビイングき生の理論
0 はじめに:幸福論の興隆
1 選好順序としての価値
1-1 効用から選好へ
1-2 全般的な選好形成の三つの特徴
2 判断の準拠点
2-1 当事者視点の再構成
2-2 基準としてのプルーデンス:処世術と社会の繁栄
2-3 包括的目的の意義
2-4 隠された企て
3 欲求の器
3-1 十分な情報と充足されるもの
3-2 器のなかの卓越主義
3-3 潜勢的可能性とコミットメント
4 総量の最大化
4-1 普遍主義と特殊主義
4-2 総量増大の企て
4-3 欲求を考慮に入れた場合の問題
5 指標論の背後にある人間像
5-1 目指すべき媒介指標
5-2 不満足なソクラテス
5-3 富者や権力者への共感
6 自生的な善き生の理論
6-1 無知なる人間
6-2 自生的な多産性
6-3 回顧された生
6-4 もてなされた生
注
あとがき
文献一覧
索引