竹林 史郎 / 田村 信一、山田 正範 訳『歴史学派とドイツ社会学の起原―学問史におけるヴェーバー資本主義論―』 ミネルヴァ書房、2022年
- 発売日
- :2022年07月1日
- 判型・ページ数
- :A5判 / 528頁
- 定価
- :9,900円(税込)
- ISBN
- :978462308869
本書はドイツ社会学の黎明期における資本主義論、とりわけマックス・ヴェーバーのそれが成立する過程を探る。同時代の著述家たちの膨大な文献を渉猟して、従来曖昧であった歴史学派から初期社会学へと至る道筋を実証的に跡付け、ヴェーバーやゾンバルトの資本主義論がいかなる学問史的文脈に立脚するかを解き明かしている。ドイツにおいて高い評価を得た日本人研究者による、ドイツ社会学の起原に迫る労作。
(Takebayashi, Die Entstehung der Kapitalismustheorie in der Gründungsphase der deutschen Soziologie :Von der historischen Nationalökonomie zur historischen Soziologie Werner Sombarts und Max Webers, Berlin : Duncker & Humblot, 2003 の全訳)
目次
序 論
第1章 1890年前後におけるドイツ国民経済学「歴史学派」の学問的状況
1 旧歴史的国民経済学と社会政策学会の設立
2 メンガーとドイツ国民経済学「歴史学派」
3 マルクスとエンゲルスの著作の影響
第2章 ブレンターノの1888年および1889年の就任講演
1 ウィーンとライプツィヒにおける二つの就任講演
2 ブレンターノのメンガーとの「方法論争」
3 ブレンターノのマルクスとの対決
第3章 シュモラーの1890年前後の連載論文
1 新しい学問的出発
2 企業の成立
3 シュモラーの歴史把握
第4章 ビューヒャーの段階論
1 方法論的立場
2 「経済段階(Wirtschaftsstufe)」・「経営体制(Betriebssystem)」・「労働編成(Arbeitsgliederung)」
3 発展の展望と概念的連関
第5章 ビューヒャー段階論研究をめぐる論争
1 ビューヒャー =シュモラー論争
2 ドイツの歴史家との二つの論争
3 ビューヒャー段階論にたいするベロウとヴェーバーの立場
第6章 20世紀初頭におけるゾンバルトとヴェーバーの学問的立場
1 新世代の国民経済学者ゾンバルトとヴェーバーのシュモラーにたいする態度
2 『社会科学・社会政策アルヒーフ』の刊行
第7章 ゾンバルトの1902年の資本主義論
1 「資本主義」の現象形態としての家内工業
2 『近代資本主義』論の理論的根本理念
3 大財産の成立
第8章 ヴェーバーの1904・05年における方法論と歴史的研究
1 「社会科学」の方法論
2 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の「精神」」の方法的手続
3 「ヴェーバー・テーゼ」の妥当性
第9章 ゾンバルトとヴェーバーにおける「資本主義」理論
1 資本主義理論の比較分析
2 シュモラーの立場
第10章 歴史的国民経済学の理論化
1 「新歴史学派」の指導者としてのシュモラー
2 国民経済学をめぐる方法論的論議の新たな展開
3 ゾンバルトとヴェーバーの理論形成と「唯物史観」
第11章 社会科学・社会経済学・社会学
1 「社会科学」としてのシュモラーの歴史的国民経済学
2 「資本主義」論としての「社会科学」
3 ヴェーバー社会学的研究の登場
第12章 国民経済学と社会学の起原
1 ヴェーバー社会学形成のモメントとしての因果性論
2 「国民経済学」とその体系論の成立
3 社会諸科学の分化
4 「歴史的社会学」の位置
訳者あとがき
著者による追記
文献目録
人名索引