(経済学史学会編集『日本における経済学史研究十年の歩み』1961年5月,より。原文縦書き。漢数字もそのまま表記した。)
本学会創立については,以上述べてきたような周到な準備と用意があった(「本学会創立までの事情」を指す:作成者注)。そしていよいよその第一回会員総会と大会が昭和二五年四月二二,二三の両日にわたって,東京の早稲田大学の政治経済学部校舎において開かれることになった。そのために四月一二日つぎのような往復はがきの案内状が,経済学史学会発企人の名において,入会申込者(一一三名)に発送された。
経済学史学会を左記によって開催いたします。万障御繰合せの上御出席下さい。追而御出席の有無を別紙返信により御回報下さい。
日 時 第一日 四月二十二日(土)午前十時 会員総会
同 午後一時 研究報告
第二日 四月二十三日(日)午前十時 研究報告
午後一時 研究報告
午後四時半 会員懇談会
会場 早稲田大学三号館政治経済学部校舎(新宿区戸塚一丁目,都電早稲田下車,都バス新宿駅西口より早稲田行終点)
研究報告 リカアドオの分配論について 堀 経夫
重商主義と近世国家の成立――歴史派的重商主義観の批判 白杉 庄一郎
「経済表」の現代的意義 越村 信三郎
題未定 杉山 清
尚 一橋大学,東京大学,東北大学各一名交渉中
そして返信用には,東京都新宿区戸塚町一丁目早稲田大学政治経済学部研究室久保田明光行とプリントされている。
かくて第一回会員総会及び大会は,予定通り四月二二,二三の両日早稲田大学政治経済学部の校舎で行われた。
まず二二日午前十時より会員総会が持たれたが,その次第はつぎの通りであった。
開会の辞 堀経夫発企人
座長選挙 高橋誠一郎発企人に決定
座長挨拶 同上
発企人代表挨拶並に経過報告 久保田発企人
会則審議 同上
会則は一,二の字句の修正のみで原案通り可決。
役員選挙
発企人一任となる。発企人会を昼食時に開き,後記のように決め,午後の研究報告に先立って会員総会を開き承認された。さらに幹事会を開き,常任幹事,代表幹事を決定。
閉会の辞 大塚金之助発企人
(なおこの総会において,日本経済学連合の評議員として大塚,堀両発企人を送ったことが承認された)
また役員はつぎの通り決った。
幹事(ABC順)
堀 経夫(関西学院大学)
岸本 誠二郎(京都大学)
久保田 明光(早稲田大学)
舞出 長五郎(東京大学)
野村 兼太郎(慶応義塾大学)
大塚 金之助(一橋大学)
坂本 弥三郎(神戸大学)
常任幹事
堀 経夫
久保田 明光
舞出 長五郎
代表幹事
久保田 明光(このために会則第二十三条による本会事務所は当分の間早稲田大学政治経済学部久保田研究室と決定)
なお顧問として高橋誠一郎氏を会則第九条の規定に従って推薦することを第一日の幹事会で決定し,午後の研究報告会の間に会員総会を開いて承認されたが,同時に上記の常任幹事,代表幹事の件も承認された。
さらにこの総会に置いてつぎの二件も承認。
一 臨時大会の件 本年の本年の秋に京都において臨時大会を開くこと。
二 会員勧誘の件 第一回大会までに会員を各方面から獲得するよう努めたが,なお連絡不十分などのためPRがゆきとどいているとはいえない。そのため各大学・機関に属する会員より常任幹事まで入会希望者を至急通知されるように要望し,これらの入会希望者は会則第四条の規定の該当者であれば,今回に限り会則第五条の規定にかかわりなく本会のオリジナル・メンバーとして取扱う旨を総会にはかり了解を得た。
研究報告は予定通り,第一日の午後と第二日の午前と午後にわたって行われた。予告した報告者の他に東大の隅谷三喜男氏,東北大の玉野井芳郎氏の報告もあった。その題目については別の場所で記することにしたい。
第二日の午後五時半から会員懇親会を同じ会場で開いた。出席会員はつぎの通り。(順序不同)
高垣,岸本,大道,小松(芳),木村,山川,小松(雅),松枝,久保,相見,堀家,伊達,久保田(明),久保田(高),岡山,堀川,堀,大河内,白杉,杉山,高島,越村,大塚,,以上二三名。(なおこの他に会場整理のために手伝った早大大学院学生田中氏が参加)
かくて二日間にわたる第一回会員総会及び大会が無事終了し,経済学史学会は正式に発足したのである。第一日の出席会員は四二名(他に藤塚,松川両氏傍聴),第二日は二九名(他に松川氏傍聴)であった。
本学会のオリジナル・メンバーは,第一回会員総会までに入会を申込んだ会員一一三名の他に,さきの総会での申合わせによる新入会員十名を合せて,合計一二三名である。つぎにそのオリジナル・メンバーの氏名を掲げておこう。
経済学史学会々員名簿
氏 名 所 属
A
* 相見 志郎 同志社大学経済学部
* 相沢 秀一 山口大学経済学部
* 赤羽 豊次郎 信州大学文理学部
* 青山 秀夫 京都大学経済学部
* 浅井 喜久雄 石川師範学校
* 遊部 久蔵 慶応義塾大学経済学部
* 東 晋太郎 関西学院大学経済学部
C
* 長 守善 中央大学経済学部
D
* 大道 安次郎 関西学院大学文学部
* 伊達 邦春 早稲田大学政経学部
* 出口 勇蔵 京都大学経済学部
F
* 福原 行三 大阪府立浪速大学
* 古谷 弘 東京大学経済学部
H
* 平井 俊彦 京都大学経済学部
* 菱山 泉 京都大学経済学部
* 堀 経夫 関西学院大学経済学部
* 堀川 マリ子 早稲田大学政経学部
* 堀家 文吉郎 早稲田大学政経学部
* 穂積 文雄 京都大学経済学部
I
* 伊部 政一 紅陵大学
* 石原 忠男 中央大学高等部
* 井藤 半弥 一橋大学
K
* 川口 慎二 大阪大学法経学部
* 川尻 武 中央大学高等部
* 木村 正身 香川大学経済学部
* 木村 健康 東京大学経済学部
* 木村 元一 一橋大学
* 岸本 誠二郎 京都大学経済学部
* 北沢 新次郎 早稲田大学商学部
* 小林 昇 福島大学
* 児玉 洋一 香川大学経済学部
* 小松 雅雄 早稲田大学政経学部
* 小松 芳喬 早稲田大学政経学部
* 越村 信三郎 横浜国立大学
* 小谷 義次 大阪市立大学経済学部
* 久保 芳和 大阪市立大学経済学部
* 久保田 明光 早稲田大学政経学部
* 久保田 高明 三菱経済研究所
* 久留島 陽三 東京大学経済学部
M
* 舞出 長五郎 東京大学経済学部
* 丸田 永作 香川大学経済学部
* 正木 一夫 金沢大学法文学部
* 増井 光蔵 大分大学
* 松田 勇 大手前高等学校
* 松田 弘三 京都大学経済学部
* 松枝 寅男 香川大学経済学部
* 松尾 博 京都大学経済学部
* 松浦 要 中央大学高等部
* 三谷 友吉 関西大学経済学部
* 宮本 義男 長崎大学経済学部
* 溝川 喜一 京都大学経済学部
* 水田 洋 名古屋大学
* 森 耕二郎 九州大学経済学部
* 森嶋 通夫 京都大学経済学部
* 武藤 光朗 國學院大学政経学部
N
* 永田 清 慶応義塾大学
* 中村 忠一 京都大学経済学部
* 縄田 栄次郎 関西学院大学高商部
* 西川 清治 大阪市立大学経済学部
* 西村 孝夫 広島大学政経学部(予定)
* 野村 兼太郎 慶応義塾大学
O
* 大石 康彦 東京大学経済学部
* 大泉 行雄 香川大学経済学部
* 岡本 博之 大阪市立大学経済学部
* 岡山 隆 早稲田大学人文科学研究所
* 大河内 一男 東京大学経済学部
* 大前 朔郎 関西学院大学経済学部
* 大野 精三郎 一橋大学経済研究所
* 小野 高治 同志社大学経済学部
* 大塚 金之助 一橋大学
S
* 酒枝 義旗 早稲田大学政経学部
* 坂本 弥三郎 神戸大学経済学部
* 坂田 太郎 山口大学
* 沢村 栄治 関西大学経済学部
* 重松 通直 大分大学経済学部
* 島崎 晴哉 中央大学経済学部
* 島津 亮二 京都大学経済学部
* 新川 士郎 北海道大学法文学部
* 白杉 庄一郎 滋賀大学経済学部
* 末永 茂喜 東北大学
* 杉原 四郎 関西大学経済学部
* 杉本 栄一 一橋大学
* 杉山 清 早稲田大学政経学部
* 住谷 悦治 同志社大学経済学部
* 隅谷 三喜男 東京大学経済学部
* 鈴木 鴻一郎 東京大学社会科学研究所
* 鈴木 憲久 紅陵大学
T
* 高垣 寅次郎 紅陵大学
* 高木 暢哉 九州大学経済学部
* 高木 真助 山口大学経済学部
* 高木 康雄 香川大学経済学部
* 高橋 誠一郎 慶応義塾大学
* 高島 善哉 一橋大学
* 武田 正二 中央大学経済学部
* 玉野井 芳郎 東北大学経済学部
* 田添 京二 東京大学経済学部
* 田村 秀夫 中央大学経済学部
* 田中 真晴 京都大学経済学部
* 館 竜一郎 東京大学経済学部
* 筒井 清彦 大分大学経済学部
U
* 内田 一男 京都大学経済学部
* 内田 義彦 専修大学
* 上田 辰之助 一橋大学
* 梅田 政勝 大分大学経済学部
* 梅谷 泰夫 慶応義塾大学経済学部
Y
* 八木 助市 神戸大学経済学部
* 矢口 孝次郎 関西大学経済学部
* 山田 秀雄 一橋大学経済研究所
* 山田 雄三 一橋大学
* 山川 義雄 早稲田大学政経学部
* 余田 博通 広島大学政経学部(予定)
* 横山 正彦 東京大学経済学部
* 行沢 健三 関西学院大学経済学部
なお,創立総会の申合わせによってつぎの十名がオリジナル・メンバーに加えられた。
* 平田 清明 横浜国立大学
* 平館 利雄 横浜国立大学
* 小池 基之 慶応義塾大学
* 河本 博介 長崎大学
* 武藤 正平 横浜国立大学
* 守屋 典郎
* 長洲 一二 横浜国立大学
* 徳増 栄太郎 横浜国立大学
* 寺尾 琢磨 慶応義塾大学
* 吉川 要 東京経済大学