ボワギルベール 著 米田昇平 訳『フランス詳論』京都大学学術出版会、2025年
- 発売日
- :2025年5月15日
- 判型・ページ数
- :四六上製 / 356頁
- 定価
- :5,720円(税込)
- ISBN
- :9784814005819
17世紀フランスにおいて世俗化の進展を背景に、人間の活動の動機と社会の構成原理を「功利」にみる新たな見方が生み出され、富や奢侈に対する軽蔑・否認からその称賛・容認へと、価値観の大きな転換が生じる。本書の著者ボワギルベールは、このような歴史的文脈の下で、欲求・効用や消費が主導する経済世界を前提に、スミスよりも半世紀以上も早く、「レセ・フェール(自由放任)」の秩序原理を見出し、これに基づく自由主義経済学の創生に向けて画期的な一歩を踏み出した。本書は『フランス詳論』(1695年)のほか、スミス『国富論』のプロトタイプとも目される「富論」と、ケネーの先蹤とも評価される「穀物論」の2論説を収録する。いずれも経済学・経済思想の歴史上、注目に値する重要な著作である。本邦初訳。
目次
凡例
訳者からのメッセージ
フランス詳論
フランスの富の減少の原因及び国王が必要とするすべての貨幣を一か月で提供し、すべての人々を豊かにする救済策の容易であること
第一部
第一章 本書の概要
第二章 フランスの国力の原因
第三章 フランスの富の減少
第四章 この減少の原因
第五章 この減少はどの程度か
第六章 フランス国王の所得
第七章 かつては現在よりも少ない所得でもっと豊かであった
第二部
第一章 富が減少した原因に関するさまざまな意見
第二章 物産の消費の減少
第三章 タイユ税
第四章 タイユの割当ての不公正さ
第五章 タイユの税額を決める際の不正
第六章 徴収の際の不正
第七章 恣意的なタイユの有害な結果
第八章 こうした不正の維持に利益を有する人々について
第九章 エードと関税が物産の消費を妨げている
第一〇章 エード税
第一一章 エードの徴税請負の利得
第一二章 吏員の横領
第一三章 葡萄酒の消費に対する障害
第一四章 地方から地方への害悪の伝播
第一五章 関税
第一六章 監督官の横領
第一七章 諸税は国王と人民に不利益である
第一八章 金銀の性質および特性
第一九章 消費の欠乏の悪しき結果
第二〇章 こうした悪しき結果の証拠
第二一章 他の明白な証拠
第三部
第一章 救済策の困難さは事物にではなく人に原因がある
第二章 タイユに関する法令の吟味
第三章 タイユの割当てを正当なものにするための新たな方法
第四章 暖炉税を設定し、他の重税は廃止すること
第五章 前章で述べた方策の利点
第六章 官職債それ自体よりも有害な釣合いの欠如
第七章 国王は土地があたかも自分の所有であるかのように国家を管理すべきである
第八章 戦争を終わらせるのに必要な貨幣を国王に提供する手段
二五の項目にわたる本論説の要約
以上の要約をさらに短くした別の要約
社会との関連及び国のあらゆる階層との関連でみた穀物の性質、栽培、取引及び利益についての論説
二部編成
第一部
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第二部
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第一〇章
富、貨幣そして貢租の性質についての論説――
これら三つの事項に関して世の中に広く行き渡った偽りの見方が暴かれる
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
解説
訳者あとがき
索引(人名/事項)