下村 晃平 著『ネオリベラリズム概念の系譜 1834-2022』新曜社、2025年2月
- 発売日
- :2025年2月28日
- 判型・ページ数
- :四六判 / 320頁
- 定価
- :4,620円(税込)
- ISBN
- :9784788518711
現代社会を論じるための鍵概念である「ネオリベラリズム」。その多義性ゆえか、曖昧で濫用されがちな概念だとも批判される。では、本来はどのような用語として使われ出し、現在の錯綜した状況に至ったのか。ネオリベラリズム概念の誕生と展開を辿る。
* 19世紀末から現在までを射程に収め、同用語の「生産・流通・受容」を多方面から検討した知識社会学的研究。
* 本書で論じるように、「ネオリベラリズム」はもともと、古典的リベラリズムへの反省にもとづき、市場に対する国家の役割を肯定する用語として広く使用されていた。
目次
序章 「ネオリベラリズム」の変遷を振り返る必要性とその方法1
一節 問題の所在
二節 先行研究の検討
三節 分析の視座
四節 本書の構成
第Ⅰ部 自称としての「ネオリベラリズム」の成立と終わり
1章 ネオリベラリズム前史
――リベラリズムの危機とリップマン・シンポジウム
一節 一九世紀における「ネオリベラリズム」の最初期の使用
二節 戦間期における自由主義者たちの活動
三節 リップマン・シンポジウムの開催
四節 「ネオリベラリズム」は使用されるようになったのか
五節 小括
2章 ネオリベラリズムの知的運動
――モンペルラン協会の設立とその後の展開
一節 ネオリベラリズム運動の根拠地
二節 モンペルラン協会設立の経緯
三節 モンペルラン協会設立会議の開催
四節 設立会議以降のネオリベラリズムの知的運動
五節 小括
3章 なぜ「ネオリベラリズム」は使用されなくなったのか
――ハイエクによる戦略的使用
一節 ハイエクを取り上げる意義
二節 初期モンペルラン協会におけるハイエクの問題意識
三節 ハイエクによる「ネオリベラリズム」の戦略的使用
四節 なぜ「ネオリベラリズム」を使用しなくなったのか
五節 自称をめぐる混乱
六節 小括
第Ⅱ部 他称としての「ネオリベラリズム」の確立と普及
4章 ネオリベラリズム時代の到来
――批判的用語としての使用法の確立
一節 他称の問題系はどのように生まれたのか—第Ⅱ部の問題提起
二節 ネオリベラリズム時代の始まり
三節 一九八〇年代アメリカの「ネオリベラル・ムーブメント」
四節 一九九〇年代における「ネオリベラリズム」の普及
五節 二〇〇〇年代におけるネオリベラリズム研究の成立
六節 小括
5章 ポスト・ネオリベラリズムの時代?
――批判の定着と自称の復活
一節 ネオリベラリズム批判の定着
二節 反発するネオリベラルたち
三節 なぜネオリベラルをあえて自称するのか
――左右ポピュリズムに対する反発
四節 小括
終章 「ネオリベラリズム」を解きほぐす
一節 各章の議論の振り返り
二節 二つの問題系に対する考察
三節 本書の意義と課題
四節 今後の展望
注
あとがき
引用文献 / 事項索引 / 人名索引