田中秀臣・姫野順一 他著『近代日本を作った一〇五人――高野長英から知里真志保まで』藤原書店、2023年4月
- 発売日
- :2023年4月
- 判型・ページ数
- :四六判 / 456頁
- 定価
- :3,300円(税込)
- ISBN
- :9784865783865
天保元(1830)年以降に生まれた世代が近代日本を作った!
1830年から1880年までの約50年間に誕生し、“時代の先覚者”後藤新平と縁の深かった人々を選んだ「新しい近代日本人物誌」。総勢92名の気鋭の執筆陣により、時代の転換点を鮮やかに示す。
(本書は、小社PR誌『機』2014年4月号~2022年12月号のリレー連載「近代日本を作った100人」を書籍化したものです。)
目次
Ⅰ 1804-29
高野長英(1804-50)――権力が産み落とした経世家 桐原健真
木下韡村(1805-67)――自由闊達な塾から多くの人材を輩出 井上智重
野村望東尼(1806-67)――ひとたびは野分の風のはらはずば 清くはならじ秋の大空 浅野美和子
横井小楠(1809-69)――日本が世界平和を創出すると説いた 松浦 玲
ローレンツ・フォン・シュタイン(1815-90)――明治憲法を活性化する国家学の提示者 鈴木一策
松浦武四郎(1818-88)――アイヌに出会い自己変革を遂げた探検家 花崎皋平
元田永孚(1818-91)――明治国家の精神的骨格を作る 梶田明宏
栗本鋤雲(1822-97)――殖産と文化交流と歴史叙述の先駆者 小野寺龍太
勝 海舟(1823-99)――近代日本の光と影を背負って 松浦 玲
大村益次郎(1825-69)――近代的学知の受容と実践 竹本知行
岩倉具視(1825-83)――米欧巡回の体験に基づく近代日本の創出 岩倉具忠
西郷隆盛(1828-77)――西郷、「征韓」論者にあらず 坂野潤治
由利公正(1829-1909)――「五箇条の御誓文」の草案者 本川幹男
Ⅱ 1830-39
ギドー・フルベッキ(1830-98)――日本近代化の恩人 井上篤夫
吉田松陰(1830-59)――地方幽囚者の思索 桐原健真
大久保利通(1830-78)――近代化政策の推進者 大久保利𣳾
高場 乱(1831-91)――玄洋社生みの親は女性だった 石瀧豊美
中村正直(1832-91)――翻訳書が国民的教科書に 平川祐弘
高島嘉右衛門(1832-1914)――近代を開き近代を超える 岡田明憲
矢嶋楫子(1833-1925)――明治という海を渡った人 江種満子
木戸孝允(1833-77)――その開明的精神 和田昭允
大鳥圭介(1833-1911)――近代日本の工業教育の父 高崎哲郎
江藤新平(1834-74)――司法改革の先駆者 星原大輔
岩崎弥太郎(1835-85)――世界を見据えた社長独裁 武田晴人
福澤諭吉(1835-1901)――コンパスの如き人 橋本五郎
安場保和(1835-99)――明治の列島改造論者 井上智重
坂本龍馬(1835-67)――新政府財政を構想 小美濃清明
井上 馨(1835-1915)――井上馨と明治日本の経済近代化 由井常彦
五代友厚(1836-85)――時代を抜きんでた「富国」の実業人 八木孝昌
榎本武揚(1836-1908)――近代日本の万能人 榎本隆充
成島柳北(1837-84)――幕末の将軍侍講、明治のジャーナリスト・実業家 楠木賢道
板垣退助(1837-1919)――自由民権運動の象徴的指導者 谷 是
大倉喜八郎(1837-1928)――貿易立国、日中経済提携の先駆 村上勝彦
大隈重信(1838-1922)――藩閥政治に挑戦し、二大政党政治を確立 五百旗頭 薫
山県有朋(1838-1922)――近代日本の安全保障に果たした役割 伊藤之雄
上野彦馬(1838-1904)――「近代化」を活写した長崎人 姫野順一
長与専斎(1838-1902)――近代日本衛生事業の提唱者 小島和貴
安田善次郎(1838-1921)――銀行業最大の貢献者 由井常彦
九代目市川団十郎(1838-1903)――歌舞伎の近代を築いた名優 渡辺 保
Ⅲ 1840-49
渋沢栄一(1840-1931)――「合本主義」の提唱 渋沢雅英
伊藤博文(1841-1909)――合理的国際・国内秩序観の形成 伊藤之雄
田中正造(1841-1913)――「水の人」「土の人」そして「民の人」 田村紀雄
新島 襄(1843-90)――キリスト教主義教育の父 石川健次郎
アーネスト・サトウ(1843-1929)――「幕末育ち」の叩き上げ英国外交官 佐野真由子
井上 毅(1844-95)――明治国家のグランドデザインを描く 松本健一
陸奥宗光(1844-97)――外交と政党政治 佐々木雄一
石黒忠悳(1845-1941)――近代軍医制度の生みの親 笠原英彦
中江兆民(1847-1901)――東洋のルソーの知られざる闘い 鶴ケ谷真一
大槻文彦(1847-1928)――「ランゲージ」と格闘した生涯 長沼美香子
桂 太郎(1847-1913)――軍から政治家を経て政党へ 千葉 功
浅野総一郎(1848-1930)――驚異的スピードの近代化 新田純子
益田 孝(1848-1938)――自転車で富士山に登る男 由井常彦
乃木希典(1849-1912)――予は諸君の子弟を殺したり 佐々木英昭
Ⅳ 1850-59
小泉八雲(1850-1904)――霊の日本の発見者 平川祐弘
荻野吟子(1851-1913)――身をもって示した女性の自立 広瀬玲子
児玉源太郎(1852-1906)――伊藤博文と連携した「立憲主義的軍人」 小林道彦
北里柴三郎(1853-1931)――伝染病研究の先駆 森 孝之
下田歌子(1854-1936)――もう一つの女性の「国民化」 広井多鶴子
辰野金吾(1854-1919)――<美術建築>を目指して 河上眞理
頭山 満(1855-1944)――貫かれた孫文との信義 石瀧豊美
犬養 毅(1855-1932)――犬養のアジア主義 姜 克實
田口卯吉(1855-1905)――国家草創期のリバタリアン 河野有理
横井玉子(1855-1903)――女性の自立の道を開く 入江 観
原 敬(1856-1921)――現実主義の「平民宰相」 福田和也
後藤新平(1857-1929)――東西文明融合のため自治の精神を貫いた実学思想家 鈴木一策
尾崎行雄(1858-1954)――信念と不屈の政治家 石田尊昭
Ⅴ 1860-69
大山(山川)捨松(1860-1919)――日本の近代の始まりを彩った女性 三砂ちづる
横井時敬(1860-1927)――反骨の帝大教授 友田清彦
内村鑑三(1861-1930)――「隅の首おや石いし」となった棄てられた石 新保祐司
新渡戸稲造(1862-1933)――近代日本を牽引した「真の国際人」 草原克豪
岡倉覚三(天心)(1863-1913)――日本近代に迎合しなかった近代人 木下長宏
徳富蘇峰(1863-1957)――近代日本の言論界を草創 杉原志啓
清沢満之(18+T763-1903)――仏教を普遍的な場へと解き放った仏教者 藤田正勝
津田梅子(1864-1929)――権威によらぬ自由な女性教育 三砂ちづる
吉田東伍(1864-1918)――近代という波に身を投げ出した史学者 千田 稔
謝花 昇(1865-1908)――帝国主義日本に立ち向かった自由民権の闘士 伊佐眞一
福田英子(1865-1927)――「妾が天職は戦にあり」 倉田容子
本多静六(1866-1952)――森づくりで国土を設計する 市川元夫
内藤湖南(1866-1934)――文化史観に立つ独創的な東洋史学者 井上裕正
南方熊楠(1867-1941)――独自の世界観を構築 松居竜五
伊能嘉矩(1867-1925)――遠野が生んだ人類学・台湾研究・東北学のパイオニア 春山明哲
伊東忠太(1867-1954)――「東洋・日本の近代像」を模索した建築学者 川西崇行
ポール・クローデル(1868-1955)――日仏会館設立の立役者 門田眞知子
北村透谷(1868-94)――近代日本の精神的革命者 平岡敏夫
Ⅵ 1870-79
鳥居龍藏(1870-1953)――日本の人類学・考古学・民族学のパイオニア 田畑久夫
西田幾多郎(1870-1945)――近代日本を作る哲学 氣多雅子
鈴木大拙(1870-1966)――西欧近現代との弁証法的格闘者としての「日本的霊性」 清 眞人
出口王仁三郎(1871-1948)――世界改造業者 出口三平
岡松参太郎(1871-1921)――近代日本の「未完のプロジェクト」を体現 春山明哲
幸徳秋水(1871-1911)――非戦論と無政府共産主義 山泉 進
添田啞蟬坊(1872-1944)――近代流行歌の祖 土取利行
津田左右吉(1873-1961)――もう一つの「国民国家日本」の形成 子安宣邦
高浜虚子(1874-1959)――類想句の新天地を示した超近代作家 筑紫磐井
チャールズ・ビーアド(1874-1948)――自治の精神を訴えた歴史家 開米 潤
福田徳三(1874-1930)――福祉社会の先駆 田中秀臣
柳田国男(1875-1962)――下方からの近代日本の受肉をめざした思想家 赤坂憲雄
伊波普猷(1876-1947)――「日本」の枠を嵌めた「沖縄学」の創始者 伊佐眞一
埴原正直(1876-1934)――人種差別と闘った外交官 チャオ埴原三鈴
与謝野晶子(1878-1942)――女の近代を駆けぬける 山田登世子
長谷川時雨(1879-1941)――女性文学のパイオニア 尾形明子
河上 肇(1879-1946)――自己否定の思想とその主体的実践 鈴木 篤
Ⅶ 1880-1909
大杉 栄(1885-1923)――すべての自由を求めて 鎌田 慧
信時潔(1887-1965)――武士道の上に接木されたる西洋音楽 新保祐司
猪間驥一(1896-1969)――統計学・人口学のパイオニア 和田みき子
知里真志保(1909-61)――アイヌ学者瞋恚(しんい)のアイヌ学 荻原眞子