黎明期の経済学を牽引した福田徳三は、何を考え、何を現代の私たちに伝えるのか-時代を超えて通底する福祉・厚生の経済学とその思想
黎明期の経済学を牽引した福田徳三。生きとし生ける者のための生存権の社会政策と福祉・厚生の経済学を追究し、一身を捧げた。創立150周年の一橋大学(東京商科大学)の経済学研究の原点として、また礎として、その時代を振り返り、まさに生誕150年の2024年のいま、現代に通底する福田徳三の復興へ。
目次
第一部 福田徳三と経済学研究の黎明・初期の展開
序 章 概 観
第1章 福田と労働者問題、ブレンターノ・福田共著『労働経済論』とその影響
第2章 帰国、『経済学講義』の頃
第3章 『経済学講義』とマーシャル『経済学原理』―有機的成長と厚生経済論
第4章 聖トマスへの回帰とラスキン的厚生経済学
第二部 生存権の社会政策と厚生経済研究
第1章 「生存権の社会政策」と「労働権・労働全収権及び労働協約」―福田とアントン・メンガー
第2章 社会政策と社会・労働運動―資本主義と社会主義・マルクス主義の狭間で
第3章 「価格闘争より厚生闘争へ」―ピグー『厚生経済学』の批判
第4章 福田、ホブソン、イギリス福祉国家―「資本主義の前途」
第5章 生存権から解放の社会政策へ
終 章 労使関係の経済社会学
第三部 福田徳三と東京商科大学の形成
序 章 100年前のビジネス・スクール創設ブーム
第1章 創設期の東京高商とアントワープ高商
第2章 福田徳三、関一らの留学と世紀転換期の高等商業教育運動
第3章 企業者と社会―福田徳三と上田貞次郎
第4章 東京商科大学の誕生―商科大学 vs. 総合大学