原田哲史『19世紀前半のドイツ経済思想—ドイツ古典派、ロマン主義、フリードリヒ・リスト』ミネルヴァ書房、2020年6月
- 発売日
- :2020年6月10日
- 判型・ページ数
- :A5判 402ページ
- 定価
- :6,800円+税
- ISBN
- :9784623088300
目次
序──多様な諸思想のアンサンブルとしての19世紀前半のドイツ経済思想
凡 例
第Ⅰ部 ドイツ古典派
第1章 スミス経済思想の移入から客観的な使用価値論の形成へ
はじめに
1 当時の社会状況とスミス経済思想の普及
2 「旧ドイツ使用価値学派」としてのドイツ古典派の生成
3 ドイツ古典派の代表者ラウ
第2章 ロッツにおける客観的な使用価値論と「共通の意見」概念
はじめに
1 古典派経済学者としてのロッツ
2 ロッツにおける使用価値論
3 「共通の意見」とそのネガティヴな作用
4 政府の教育的役割──古典派的な経済社会を担いうる経済主体の形成
むすび
第3章 ラウにおける「政治経済学」の定義,経済学史の把握、「種類価値」概念の提起
はじめに
1 「政治経済学」の定義と経済学の到達点
2 定義の厳密化と「種類価値」論
むすび──アドルフ・ヴァーグナーの位置付けと種類価値構想の包摂可能性
第4章 ドイツ古典派の経済学構想の意味
はじめに
1 非市場依存・市民生活優先の経済学と、一般的な使用価値を強調する批判的社会理論との関連で
2 「メリット財」論の萌芽として
むすび
第Ⅱ部 ドイツ・ロマン主義
第5章 ドイツ・ロマン主義の経済思想家における啓蒙と野蛮の問題
はじめに
1 アダム・ミュラーの場合
2 フランツ・フォン・バーダーの場合
むすび
第6章 アダム・ミュラーの自由論と世代間倫理
はじめに
1 モンテスキューとスミス、そしてローマ的所有とフランス革命・プロイセン改革の問題
2 中世における貴族と市民の均衡、そしてマニュファクチュア的生産の問題
むすび──世代間倫理の課題に後ろから立ち向かったミュラー
第7章 アダム・ミュラーにおける„Staatskunst“の構想──当時の国家・経済学の概念規定と、ゲーテ『タッソー』への言及との関連で
はじめに
1 ユスティとフーフェラントにおける„Staatskunst“概念
2 ゲーテ『タッソー』の両極性観念との接合としての「国家芸術」概念
むすび
補 論 ドイツ・ロマン主義の人文的側面と経済・国家的側面との連接
はじめに
特質1 啓蒙思想やゲーテからの批判的継承,またはそれらへの継承的批判
特質2 多様な個性的存在のアンサンブルという世界観
特質3 過去に由来し未来にも続く高貴な精神的紐帯という観念
特質4 後戻り不可能という認識
むすび
第Ⅲ部 フリードリヒ・リスト
第8章 フリードリヒ・リストの行動と著述の軌跡
はじめに
1 幼少期から行政官・大学教授・「協会」顧問を経て収監まで
2 アメリカ時代
3 帰国後の鉄道敷設の提唱から『国民的体系』(1841年)の出版まで
4 晩年における方向転換と最期
むすび──「ドイツ人の政治的・経済的国民統一」とその後のドイツ
第9章 『国民的体系』と「農地制度論」
はじめに
1 『国民的体系』での発展段階論
2 「農地制度論」でのユストゥス・メーザーの影響ならびに拡張主義
3 同時代の経済諸思想との比較での『国民的体系』と「農地制度論」
むすび
第10章 小林昇のリスト研究とこれから
はじめに
1 『リストの生産力論』(1948年)に示された小林昇のリスト理解
2 戦時期の経験を経た小林昇の根底的な問題関心
3 70年代からの小林昇の関心と彼のリスト理解
むすび
結──19世紀前半のドイツから現代へ
解 題
解題1 K. Brandt (K. ブラント): Geschichte der deutschen Volkswirtschaftslehre (ドイツ経済学史), Freiburg i. Br., 2 Bde., 1992-93
解題2 B. P.プリッダート(高柳良治・滝口清栄・早瀬明・神山伸弘訳)『経済学者ヘーゲル』御茶の水書房,1999年(原書、Berlin 1990)
解題3 B. P. Priddat (B. P. プリッダート) (Hg.): Wert, Meinung, Bedeutung: Die Tradition der subjektiven Wertlehre in der deutschen Nationalokonomie vor Menger (価値、意見、意味──メンガー以前のドイツ経済学における主観価値論の伝統), Marburg 1997
解題4 諸田實『フリードリッヒ・リストと彼の時代──国民経済学の成立』有斐閣、2003年
文献一覧
人名索引