宮田 惟史 著『マルクスの経済理論 ―MEGA版「資本論」の可能性』岩波書店、2023年2月

発売日
:2023年2月17日
判型・ページ数
:A5判/374頁
定価
:6,600円(税込)
ISBN
:9784000248358

経済学批判としてのマルクスの意義とは――『資本論』の到達点と可能性をつかむ最新の研究成果。

現代社会が直面する問題の根源は資本主義システムにある。歴史上、資本主義社会をもっとも深く分析したマルクスの経済理論の意義はいまだ失われていない。マルクスが紡いだ一つ一つの概念に光をあて、MEGAの新資料にもとづき『資本論』を丹念に読み解くことで、そのテキストがもつ今日的な可能性が見えてくる。「マルクスなきマルクス経済学」から脱却し、その到達点を正確につかむ最新の研究成果。

目次

まえがき
 凡例

序 章 本書の課題と視角
 1 本書のアプローチ
 2 新しい研究段階──経済学部門のMEGA 研究
 3 本書の構成

第Ⅰ部 資本主義システムの存立根拠

第1章 マルクスの経済理論の課題と方法
 はじめに
 1 『資本論』の主題と研究領域
 2 『資本論』と現代
 3 『資本論』は「未完」か
 4 『資本論』の方法
 5 経済学批判
 6 経済理論と歴史把握
 7 資本主義システムの矛盾──それが諸個人にアソシエーションを促迫する
 おわりに

第2章 市場──均衡論批判の基礎
 はじめに
 1 市場と均衡
 2 セー法則の基本命題
 3 セー法則の成立根拠
 4 マルクスのセー法則批判
 5 均衡論と貨幣数量説との表裏一体性
 おわりに

第3章 貨幣──貨幣数量説批判
 はじめに
 1 貨幣数量説の基本命題
 2 貨幣数量説の存立根拠
 3 マルクスの貨幣数量説批判
 4 マルクスの外生的貨幣供給論批判
 おわりに

第4章 資本主義の存立根拠──所有基礎論批判
 はじめに
 1 所有基礎論批判
 2 労働を基礎とする社会把握と賃労働
 3 所有・支配・搾取する力の発生根拠
 4 賃労働を強制する諸力
 5 分配を規定するものは何か
 6 主体の対象にたいする能動的行為
 7 生産関係と生産力との矛盾
 おわりに

第Ⅱ部 資本主義システムの矛盾と危機

第5章 剰余価値と資本蓄積──資本の生産過程における支配・矛盾
 はじめに
 1 資本とは何か
 2 市場の外面性批判──市場から生産過程の分析へ
 3 絶対的剰余価値の生産における支配・矛盾
 4 相対的剰余価値の生産における支配・矛盾
 5 資本の再生産──商品生産の所有法則批判
 6 資本主義的蓄積の一般的法則
 おわりに

第6章 資本の流通過程と再生産──社会的再生産の撹乱条件
 はじめに
 1 資本の循環・回転
 2 再生産論の中心課題と叙述方法
 3 単純再生産
 4 拡大再生産
 おわりに

第7章 利潤率の傾向的低下法則──法則の内的諸矛盾の展開
 はじめに
 1 利潤率の傾向的低下法則の課題と分析視角
 2 利潤率の傾向的低下法則の概念
 3 法則の内的諸矛盾とは何か
 4 法則の内的諸矛盾の展開と恐慌を現実化させる諸契機
 5 資本の過剰生産と商品の過剰生産
 6 利潤率の傾向的低下法則と信用論
 おわりに
 補論 利潤率の傾向的低下法則と晩期マルクス

第8章 信用と恐慌──貨幣資本の蓄積と現実資本の蓄積
 はじめに
 1 マルクス信用論の中心課題と構成
 2 貨幣資本(monied capital)と架空資本
 3 貨幣資本の蓄積と現実資本の蓄積
 4 銀行信用の限界──金融政策によって恐慌・不況は回避可能か
 5 不換制下の銀行信用
 おわりに

第Ⅲ部 資本主義システムの超克と現代

第9章 現代資本主義──利潤原理から脱利潤へ
 はじめに
 1 「経済成長」とは何か──その核心である「利潤最大化」
 2 利潤最大化・経済成長の帰結
 3 利潤最大化と人間生活の向上とは両立しうるか
 4 ポスト資本主義──利潤原理から脱利潤へ
 おわりに

第10章 アソシエーション──資本主義システムの超克
 はじめに
 1 アソシエーションの主体
 2 アソシエーションの根本原理
 3 資本主義とアソシエーションとの本質的差異
 4 アソシエーションにおける生産の目的
 5 生産と分配
 6 資本主義システムに内在するアソシエーションの諸契機
 7 資本主義システムの矛盾とアソシエーション
 おわりに

 注
 引用文献
 初出一覧
 あとがき

版元の紹介ページ: https://www.iwanami.co.jp/book/b619870.html