山田 鋭夫 著『ウェルビーイングの経済』 藤原書店、2022年6月

発売日
:2022年6月
判型・ページ数
:四六判 / 288頁
定価
:2,860円(税込)
ISBN
:9784865783506

「ゆたかな生(ウェルビーイング)」をめざして!

岸田政権の「新しい資本主義」ビジョンに触発され、「めざすべき経済社会とは何か」(前編)と、「資本主義はどういう仕組みで変化するのか」(後編)を分析、「市民社会」と「ゆたかな生(ウェルビーイング)」をキーワードに、来るべき新しい社会の構築を企図する渾身作!

ビジネスの現場でも、社員の健康や仕事満足感などがよい状態にあることを指し、そのウェルビーイングを高めてゆこうとする動きが報じられている。邦訳語も多様で「幸せ」「幸福(度)」といったものもあれば、「よき生」「善き生」と訳される。本書では「ゆたかな生」としたいと考えている。
本書は、「新しい資本主義」や「コロナ後の経済社会」を念頭において新しく考えたことを展開しようとするものである。換言すれば岸田政権の「新しい資本主義」をさらに「新しくする」ことを意図している。
いや、それ以上に、「新しい資本主義」を超えて、その先にわれわれが見据えるべき羅針盤としての「ゆたかな生」(ウェルビーイング)を模索しようという試みである。

目次

序説 「ゆたかな生」をめざして
  1 「新しい資本主義」を超えて
  2 めざすべき経済社会とは何か
  3 資本主義はどういう仕組みで変化するのか
  4 「市民社会」という語
  5 「ウェルビーイング」という語

前編 市民社会とウェルビーイング
 第1章 人間―自然の物質代謝と市民社会――内田義彦の視座
  1 はじめに
  2 マルクスの物質代謝論
  3 内田義彦の物質代謝視座
  4 物質代謝の再建と市民社会
  5 おわりに

 第2章 見えざる手からあやつる手へ――内田義彦とS・ボウルズ
  1 はじめに――ホモ・エコノミクスと利己心
  2 スミスにおける利己心と共感
  3 利己心の等置と正義
  4 市場と道徳
  5 インセンティブとモラルの分離不可能性
  6 不完備契約の市民化効果
  7 おわりに

 第3章 「新しい資本主義」を新しくする――岸田ビジョンを超えて
  1 岸田政権の「新しい資本主義」ビジョン
  2 「新しい資本主義」は新しいか
  3 「新しい資本主義」ビジョンの問題点
  4 ポストコロナ経済社会の方向性

 第4章 ウェルビーイング主導の人間形成型社会――R・ボワイエのパンデミック論から
  1 パンデミックと資本主義の趨勢
  2 人間形成型発展とは何か
  3 人間形成型モデルへの予兆
  4 人間形成型発展とウェルビーイング
  5 おわりに――ゆたかさ概念の転換へ

後編 資本主義のレギュラシオン理論
 第5章 レギュラシオン理論とは何か
  1 はじめに
  2 可変性の政治経済学
  3 歴史的制度的マクロ経済学
  4 金融主導型の発展様式
  5 資本主義の多様性
  6 制度の政治経済学
  7 制度階層性の逆転と新自由主義連合
  8 おわりに――ポストコロナの経済社会

 第6章 資本主義をどう調整するか
  1 市場経済か資本主義か
  2 資本主義の社会的調整
  3 労働力商品の売買と日本の市民社会論
  4 資本原理と社会原理

 第7章 社会主義から国家資本主義へ
  1 はじめに――移行経済論の今昔
  2 イアン・ブレマー『自由市場の終焉』
  3 ブレマー国家資本主義論の反響
  4 国家と資本主義の関係
  5 国家資本主義概念の諸相
  6 調整様式としての国家資本主義
  7 おわりに――市場・国家・市民社会

 第8章 制度の内部代謝とレジーム危機
  1 はじめに
  2 出発点としての経路依存論
  3 制度変化の諸類型
  4 制度変化の概念的理解
  5 新自由主義における経済と政治
  6 おわりに

あとがき
参考文献

版元の紹介ページ: https://www.fujiwara-shoten-store.jp/SHOP/9784865783506.html