青木裕子・大谷弘編著 『「常識」によって新たな世界は切り拓けるか ―コモン・センスの哲学と思想史』晃洋書房、2020年2月

発売日
:2020年2月20日
判型・ページ数
:A5・232ページ
定価
:本体3,700円+税
ISBN
:9784771032873

目次

序 章 「常識」をめぐる多様な解釈とアプローチ

第Ⅰ部 スコットランド常識学派とイギリス経験論における常識/コモン・センス

第一章 アダム・ファーガスンにおけるコモン・センス的リアリズムの検討
青木裕子
はじめに  
第一節 コモン・センス概念の二つの系統  
第二節 ファーガスンの実践重視とコモン・センス的リアリズム  
おわりに――コモン・センス的リアリズムの有為性  

第二章 知識と常識という方法
――アイルランドにおける一系譜
野村智清
はじめに
第一節 トランドによる攻撃とシングによる迎撃  
第二節 『アルシフロン』第七対話における常識  
第三節 哲学による常識の修正  
おわりに  

第三章 コンヴェンション・言語・常識
――ヒュームの道徳哲学における常識の生成
相松慎也
はじめに  
第一節 ヒュームの「コンヴェンション」  
第二節 ヒュームにおける「常識」と言語  
第三節 コンヴェンションと言語  
おわりに  

第四章 一八世紀スコットランドから二〇世紀ケンブリッジへ
――リード、ムーア、ウィトゲンシュタインにおける常識
大谷 弘
はじめに  
第一節 リードにおける常識  
第二節 ムーアにおける常識  
第三節 ウィトゲンシュタインにおける常識  
おわりに

第Ⅱ部 啓蒙思想と常識

第五章 「共通理解」の再構成としての歴史
――啓蒙期ブリテンにおける歴史叙述の展開
佐藤 空
はじめに――啓蒙思想研究の視座  
第一節 「伝統」的ナラティヴの再考  
第二節 共通理解としての「ポスト (post-)」――克服・教訓・危機の歴史叙述  
第三節 「行為」としての歴史叙述とその性質  
おわりに

第六章 常識と啓蒙のアンビバレンス
――カント常識論の振れ幅について
和田 慈
はじめに
第一節 カントと常識  
第二節 常識と形而上学  
第三節 常識から狂信へ?  
第四節 常識と啓蒙
おわりに

第七章 コモン・センス、社会改良、政治権力
――ベンジャミン・フランクリンの場合
片山文雄
はじめに――ローゼンフェルドの展望から  
第一節 フランクリンという人物  
第二節 社会改良とコモン・センス  
第三節 政治活動とコモン・センス  
第四節 コモン・センスの背景――信仰、人間、社会  
おわりに  

第Ⅲ部 常識のダークサイド――抑圧する力としての常識

第八章 常識と行為者性
――テイラーとハイデガーによる常識の理論
高井 寛
はじめに  
第一節 行為者性と言語――チャールズ・テイラーの行為者性理論  
第二節 行為者性と常識――ハイデガーの行為者性理論  
第三節 ハイデガーの洞察
おわりに

第九章 常識の「身体」をあぶり出す
――ウィトゲンシュタイン『確実性について』を手がかりに
槇野沙央理
はじめに  
第二節 一人称に何ができるのだろうか―——先行研究の検討  
第三節 『確実性』四一五節における視点の「身体」をあぶり出す―― 一人称の働きを活用して  
第四節 常識の解体――リアリティの隠蔽に抗すること  
第五節 異質な者同士の間で生成する常識――確かであることの多様性
おわりに

あとがき  

版元の紹介ページ: http://www.koyoshobo.co.jp/book/b497569.html