J・G・A・ポーコック 著 / 田中 秀夫 訳『野蛮と宗教Ⅰ エドワード・ギボンの啓蒙』『野蛮と宗教Ⅱ 市民的統治の物語』名古屋大学出版会、2021年、2022年

発売日
:I: 2021年10月 II: 2022年9月
判型・ページ数
:A5判 / I: 340頁 II: 424頁
定価
:I: 5,940円(税込) II: 7,480円(税込)
ISBN
:I: 978-4-8158-1041-2   II: 978-4-8158-1096-2

I

ヨーロッパの文明につきまとう「野蛮と宗教」という主題。それを壮大な世界史のなかで描き上げた歴史家ギボンの生涯を軸に、多様な啓蒙思想との出会いから、『百科全書』との対決、ローマ帝国史の着想までをたどる。『マキァヴェリアン・モーメント』の著者によるもう一つの主著

凡 例
 謝 辞
 参照、引用、翻訳について

序 文

  第Ⅰ部 イングランドとスイス 1737-63年

第1章 パトニー、オクスフォード、イングランド啓蒙の問題
     ギボン家、そして教会と国家の危機
     スタワヘッド訪問とアングリカンの歴史叙述への冒険
     オクスフォードのギボン —— 権威の危機

第2章 ローザンヌとアルミニウス派の啓蒙

第3章 若きギボンの再教育
      —— 方法、不信仰、歴史への転回

第4章 ハンプシャー民兵軍と近代の問題

第5章 野営での研究
      —— 博学と語りの探究

  第Ⅱ部 パリとの出会いと博学の擁護 1758-63年

第6章 英仏の啓蒙における学識の政治学

第7章 碑文・文芸アカデミーにおける博学と啓蒙

第8章 ダランベールの『百科全書序論』
      —— 啓蒙哲学者の歴史認識

第9章 『文学研究試論』
      —— 想像力、アイロニー、歴史

第10章 パリと文人
      —— 経験と回想

  第Ⅲ部 ローザンヌとローマ、ある主題への旅 1763-64年

第11章 ローザンヌへの復帰と博学の追究

第12章 ローマへの旅と意図の変化

エピローグ ギボンと「異なるリズム」

 注
 訳者あとがき
 参照文献
 索 引

II

西洋史の大きな物語 —— 古典古代の崩壊にともなう「野蛮と宗教」の時代から、洗練された習俗・商業・主権国家に基づく「ヨーロッパ」へ —— はいかにして形成されたのか。聖史を脱して博学と哲学を統合する多様な「啓蒙の語り」を読み解き、ギボンの知的文脈と独自性に迫るライフワーク。第I巻に続く、歴史叙述をめぐる思想史。

凡 例
 謝 辞
 参照、引用、翻訳について

序 文

序 説 初期近代の歴史叙述の多様性

  第Ⅰ部 「啓蒙の語り」の構築

 セクション1 ジャンノーネ —— 地中海中央部の法律家・自由思想家

第1章 文明史と教会史
第2章 教皇と皇帝
      —— イサウリア朝からホーエンシュタウフェン朝へ
第3章 アンジュー家、スペイン人、フランス教会
      —— 啓蒙の間際で
第4章 ギボンとジャンノーネ
      —— 語り、哲学、博学

 セクション2 ヴォルテール —— 啓蒙の世界像における新古典主義者・哲学者

第5章 ヨーロッパの地平で
      —— 北方の国王たち
第6章 啓蒙の道具としての宮廷の君主政
      ——『ルイ14世の世紀』
第7章 歴史の脱キリスト教化とアジア
      ——『ルイ14世の世紀』と『習俗論』
第8章 ヨーロッパのキリスト教千年期
      ——『習俗論』
第9章 市民的統治の回復、狂信の再生、『世紀』への復帰
第10章 ヴォルテール
      —— 怒れる先駆者

  第Ⅱ部 歴史的時代と歴史的国民

 セクション3 デイヴィッド・ヒュームとイングランドの哲学的歴史

第11章 ハノーヴァー朝の諸王国における歴史の問題
第12章 デイヴィッド・ヒューム
      —— 同時代史としての『論集』
第13章 『大ブリテン史』
      —— ヒュームの近代史
第14章 テューダー朝のイングランド
      —— 君主政、ヨーロッパ、熱狂
第15章 ヒュームの『イングランド史』
      —— 啓蒙の物語を振り返る

 セクション4 ウィリアム・ロバートスンとヨーロッパ史

第16章 歴史叙述の諸問題
      —— スコットランドの視座
第17章 スコットランドと社会の進歩
第18章 カール5世の治世とヨーロッパの諸国家の出現
第19章 ロバートスン
      —— 書かれた歴史と書かれなかった歴史

  第Ⅲ部 市民社会の進歩

 セクション5 アダム・スミス —— 法学から歴史へ

第20章 道徳哲学と社会の諸段階
第21章 スミスのグラスゴー講義
      —— 語りと哲学的歴史

 セクション6 アダム・ファーガスン —— マキァヴェリアンの穏健派

第22章 ファーガスンの『市民社会史論』
      —— 世界史の揺籃としてのシベリア
第23章 『文学回想』と『ヤペテの名残』
第24章 スコットランドの語り
      —— 理論的歴史と市民的歴史

  第Ⅳ部 『衰亡史』の企て

第25章 啓蒙の語りと1776年の計画
第26章 「ギボンの暗黒時代」
      —— 1765~72年の著作
第27章 語りの構築
      ——『自伝』の証言

 注
 訳者あとがき
 参照文献
 索 引

 

版元の紹介ページ: https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-1041-2.html https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-1096-2.html